本記事では「ヨハネ福音書」の「真理はあなたがたを自由にする」という言葉がどのような意味なのだろうという疑問をお持ちの方に向けての内容となります。
本記事は松平浩道氏の『リベラルアーツの法学』を参照して、本の内容をご紹介してみなさまの疑問の解決に努めます。
本記事をお読みいただくと、「真理とはどのようなものだろう?自由との関係は?」という状態から「真理は自由とこのような関係があるのだな」という状態へと理解が深まるでしょう。
ヨハネ福音書から「自由」を読み解く
まず最初に要点としては、神に対する人間の自由があり、人間が犯した罪はイエスにより償われ、このようなキリスト教的世界観は、欧米の思想や学問の基礎となっているということです。
まず「真理はあなたがたを自由にする」(ヨハネ福音書)とは、どういう意味でしょうか?結論から申し上げれば、人間がこの世の価値観に従属せずに神に対して、自由意志、自立・自律した人格であるというキリスト教の世界観です。
ヨハネ福音書では「罪を犯す者は誰でも罪の奴隷である」とあります。人間は神に反逆し、契約に違反しました。その「罪(負い目)」から自由になるために、イエスが登場するのです。
しかし神の子イエスは律法学者たちの反感買いました。なぜなら、彼らは律法主義という伝統を守りたかったからです。律法主義とは、条文の一語一語に過度なこだわりをみせる態度のことです。
彼らはイエスの殺害計画を立てます。そしてイエスを十字架で処刑したのです。そのことによって、人間は「罪(負い目)」から解放とキリスト教は説きます。すなわち人間は神に対する「負い目」から解放され、「罪の奴隷」から自由になったのです。
このような価値観は欧米の思想や学問の基礎となっているので、このことを理解しておくと欧米人の思考パターンやそれを研究したアカデミズムの理解に役立つでしょう。
まとめると、人間はイエスより償われ、人間は罪から自由になり、神に対して自由になった。このようなキリスト教の世界観は、欧米人の思考パターンやアカデミックの根底をなすものとなっているということです。
欧米の世界観・人間観としての宗教理解
要点を以下にまとめます。聖書は欧米の諸学問に影響を与えたこと、キリスト教的な世界観・人間観は、学術文献をより理解するのに大切なこと、聖書やヨーロッパの思想に関する書籍のご紹介です。
欧米の諸学問は、聖書から影響受けています。キリスト教的世界観・人間観は、学術文献に対する批判的な検討力が深まります。聖書研究は、キリスト教批判・ヨーロッパ思想批判でも必要不可欠です。リベラルアーツの学びに積極的に取り入るとよいでしょう。
聖書研究としては、大貫隆『聖書の読み方』、ヨーロッパ思想としては、岩田靖夫『ヨーロッパ思想入門』などがおすすめです。
以上まとめると、聖書から西洋世界は影響を受け、さらにその学問もそれを受けて発展していったということです。
「真理はあなたがたを自由にする」についての私見
まず結論から申し上げると、僕は「真理」とは、人間を幸福にするためのものであり、哲学はそのための「真理」を追求する営みであり、したがって、幸福になるためには、どうすれば幸福なのかを考える必要があるということです。
では「真理」とは一体何でしょうか?僕はソクラテスの説く、「善く生きる」ことだと考えます。なぜなら「善く生きる」ことは、最終的には、人間の幸福につながるからです。
そうだとすれば、人間を幸福にするためのものが、「真理」だと僕は考えます。なぜなら、「真理」を通すことによって、初めて「真の幸福」がどのようなものか認識できるからです。もちろん、認識した後は、その多様な幸福観に基づいて、実際に幸せを味わうことが、真に幸せだと感じるのは言うまでもありません。
つまり現状において、不幸せであると感じるなら、何が不幸せで、どうすれば幸せになるのかという考え方、すなわち批判的思考が必要とされるます。
批判的思考は哲学のベースに位置するものです。なぜなら哲学は物事の本質を根底からラディカルに検討する営みだからです。ただ誤解してほしくないのは、「批判」は自己の思考に向けてするもので、他者の粗探しをするわけではないということです。
したがって人間を幸福にするものが、真理だと僕は考えます。
まとめ
いかがだったでしょうか?本記事では「ヨハネ福音書」の「真理はあなたがたを自由にする」という言葉がどのような意味なのだろうという疑問をお持ちの方に向けて、松平浩道氏の『リベラルアーツの法学』を参照して、本の内容をご紹介してみなさまの疑問の解決に努めました。以下に要点をまとめます。
- キリスト教によればイエスが罪を贖い、人間は自由になった
- 聖書やキリスト教的世界観は欧米人の思考、学問のベースにある
- 真理とは人間を幸せにするもの
「自由とは何か」ということは、普段から意識している人は少ないと考えられますが、これを機に、改めて「あなたにとっての「自由」とは?」という問いを考えいただきたいです。その際はぜひコメントをお寄せください。また本記事に対する感想でも構いません。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考文献
松田浩道『リベラルアーツの法学』
聖書協会共同訳『聖書』
大貫隆『聖書の読み方』
岩田靖夫『ヨーロッパ思想入門』
プラトン『ソクラテスの弁明・クリトン』
アリストテレス『ニコマコス倫理学』