本記事は「最近忙しくて心に落ち着きがない」「「今ここ」を大切にするってどういうこと?」といった疑問や悩みをお持ちの方に向けての内容になります。
本記事では、3人の東西の思想家や哲学者の思想に基づいて考察していきます。3人とは老子,ブッダ,アリストテレスです。古代から現代にも通ずる古典中の古典である彼らの思想を丁寧に解説をします。
本記事をお読みいただくと「今ここを生きる」の大切さやその実践方法を知ることがで「今ここ」を大切に生きることできます。その結果、今よりも永続的な満足感が得られるだろうと考えています。
では説明していきます。
まず老子とはどのような人物だったのでしょうか?
老子
まず老子の経歴は以下の通りです。老子が生まれた年や亡くなった年は詳しくわかっていません。中国古代の道家(どうか)思想の開祖とされる人物です。道家とは中国古代におこった思想的学派の名称です。その思想の一番の特徴は、特殊な「道(どう)」という思想を強調することです。「道(どう)」とは、老子の思想です。またその著作とされる書物自体が老子です。
次に思想としてはまとめると以下の通りです。老子は「道(タオ)」というものを大事にしました。「道」とは、万物(あらゆる物事)の根源です。根源であるから自然なものでもあります。だから「道」にしたがった方がよい、というのが老子の主張です。しかし人間はしばしば私欲によって「道」からそれてしまいます。だから人間は「道」に戻りなさいと老子は説くのです。
最後に老子の言葉として、僕が個人的に好きな言葉があります。それは以下の通りです。「足るを知る者は富む。強(つと)めて行う者は志あり」という言葉です。「足るを知る」は有名かもしれません。意味としては、「満足を知っている人は豊かだ。さらに努力している人には志が宿っている」といった意味です。
どういうところが好きなのかというと、特に後半の「強めて行う者は志あり」というところが、当初将来のビジョンがうまく描けなかった僕を救ってくれた言葉であります。なぜならそのビジョンが描けなくても、その瞬間、瞬間を頭を腫らして考えるという努力をしていたから、それが「強める」すなわち努力している、それゆえにビジョンが描けなくてもいいのだと実感できた瞬間であったからです。したがって「今ここ」に集中して、努力しつつも楽しもうと考えました。
次にブッダはどうでしょうか?
ブッダ
まずブッダの略歴としては以下の通りです。ブッダとは「悟れる者」です。何を悟るのかというと、真理,本質,実相です。仏教の開祖、ゴータマ・シッダールタはその一人です。彼は釈迦とも呼ばれます。彼は王子の家に生まれました。しかしその裕福で安逸(のんきで気楽)な生活に嫌気が差しました。そこで生の苦しみに問題を向けるようになります。それが仏教の始まりです。
次に思想としては、「人生とは苦である」というのが根本です。だから苦しまなくていい術を考えようというのがブッダのスタンスです。重要なのは「慈悲喜捨(じひきしゃ)」という考えです。「慈」とは、相手を慈しむこと、「悲」とは、相手を憐れむこと、「喜」とは、相手に起こったことを喜ぶこと、「捨」とは、自分の我欲を捨てることです。これらが基本かつ根本思想になります。
最後に僕が好きな言葉としては、「私は私を肯定する」(草薙龍瞬氏の『反応しない練習』に記載されているアファーメーション(自分を励ます言葉))という言葉です。自分の判断に自信が持てなくなったとき、「どのような判断は不要で、自信もなくていい。ただただ目の前のことと自分を受け入れることが重要だ」と言われた気がして気持ちが楽になりました。
またマインドフルネスも、自分の想念や身体感覚の観察をして、ラベリング(ラベルを貼るように、言葉で名前を付ける)するという観点からは、言葉の重要性は意義深いでしょう。そのプロセスは、想念や身体感覚を受け入れ、味わい、手放す。その後、自分がどのように感じたかを振り返り、自分にあったコーピング(対処)をしていくとよいかと考えます。
最後にアリストテレスはどうでしょうか?
アリストテレス
まずアリストテレスは、略歴は以下の通りです。アリストテレスは古代ギリシアの哲学者です。ソクラテスの弟子であるプラトンの弟子です。したがってソクラテスの孫弟子です。アリストテレスは当時、隆盛を誇っていたマケドニア王国のアレクサンドロスの家庭教師でした。またリュケイオンという研究所を創設していました。
次に思想として取り上げたいのは、「エネルゲイア」というアリストテレスの考え方です。「エネルゲイア」とは、現実態と訳されます。現実態とは、ある物事が現実になった状態のことです。それに対して、「キーネーシス」という言葉もあります。それはその行為の目的が「今の自分の外」にあることと言い換えられます。
なぜこの考えを取り上げたかというと、僕が将来に悩んでいたときに僕を救ってくれた考え方だからです。僕は将来についての経済的不安がありました。しかしアリストテレスから言わせれば、「今の自分」こそが目的だと言います。つまり将来の目的によって、「今」を犠牲にする生き方はすべきではないし、それは幸福とは言えないと彼は言うのです。要するに僕はアリストテレスが「「今ここ」に生を最大化する努力をせよ」と言っていると解釈しました。これが「エネルゲイア」的な考え方です。
まとめ
いかがだったでしょうか?本記事では「最近忙しくて心に落ち着きがない」「「今ここ」を大切にするってどういうこと?」といった疑問や悩みをお持ちの方に向けて、老子,ブッダ,アリストテレスの思想から役立つ考えを解説をしました。まとめると以下の通りです。
- 老子は「強めて行う者に志あり」と言い、努力のプロセスの大切さを説いた
- ブッダは「慈悲喜捨」を説き、他者への利他性を訴えた
- アリストテレスは「エネルゲイア」的な「今やるべき」ことに集中すべきと説いた
ついつい過去を後悔して、未来に不安になってしまう僕らですが、古今東西の賢人の知恵から「今を生きる」ことの重要性を理解し、実践していきたいですね。みなさんの活躍を祈ってます!
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考文献
老子、蜂屋邦夫訳注『老子』
中村元訳『ブッダのことばースッタニパータ』
草薙龍瞬『反応しない練習』
小林昌平『その悩み、哲学者がすでに答えを出しています』
山口義久『アリストテレス入門』